©黛ろきこ/forcs
クズと善人
俺に足を洗わせたいなら、先生が本気を見せろ
あらすじ
美術予備校の講師・結木は、素行不良でクビ寸前の美形モデル・名取を更生させようと奔走するが、その過保護なまでの正義心が裏目に出てしまう。危険な夜の仕事を邪魔した代償を身体で要求され、挙げ句には名取の店への罰金までも肩代わりする羽目に。「もう体、傷つけたらダメだよ?」。これほどの目に遭っても、美貌の裏に孤独を抱えた名取を放っておけない結木。稼ぎを失った名取に献身を逆手に取られ、「罰金分、奉仕してやるよ」と少しずつ侵食されていく——。
この作品の見どころ
タイトルどおり「クズ」と「善人」、対極の二人が出会ってしまったがゆえの、危うく濃密な関係を描くダークBLです。見どころは、単純な加害と被害の構図に収まらないところ。名取のクズっぷりの奥には荒んだ生育と孤独が透けて見え、結木の献身も「善意」だけでは説明のつかない執着を帯びていく。互いの欠落が噛み合ってしまう過程が丁寧に積まれているため、ヒリつく展開にも説得力があります。救いのない話ではなく、堕ちていく先にしか築けない絆の形を探る物語として読み応え十分。甘いだけのBLでは物足りない読者にこそ薦めたい、苦みの効いた一冊です。