君の胃袋を借りたい

深蔵

食卓を挟めば、言えなかった本音がほどけていく

あらすじ

人に嫌われたくない清和井課長は、頼まれごとを断れず、つい「いい人」でいようとしてしまう。一方、空気を読まずにズバズバ物を言う新人・大森くんは、周囲と衝突しがち。そんな2人が仕事終わりの食事を通して、心に溜め込んでいた言葉や感情を少しずつ吐き出していく。伝わらない苛立ちも、理解されない寂しさも、食卓を挟むことで少しずつ溶けていく。感情は厄介だけど、なくてはならないもの。お腹と一緒に、心も満たされていく二人三食な物語。

この作品の見どころ

「いい人」をやめられない上司と、空気を読まない新人。職場ではすれ違うばかりの二人が、仕事終わりの食事を重ねるうちに少しずつ本音を交わしていく——設定はシンプルなのに、読み口は驚くほど沁みます。見どころは、料理の描写が感情の描写と重なっていくところ。溜め込んだ苛立ちや寂しさが、湯気の立つ食卓を挟むと不思議とほどけていく。その過程が丁寧に積み上げられているので、一話ごとに小さな救いがあります。世代も性格も違う相手とどう向き合うか、働く人なら誰でも身に覚えのあるテーマを、説教臭さゼロで描いた良質なヒューマンドラマです。
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